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一般的な耐震診断では、評点0.XXで「倒壊する可能性もある」と結果がでても具体的にごれくらい危険なのかがイマイチわかり難いという声を良く聞きました。
そこで当社では今年から、従来からの「一般診断」と建物の傾き(層間変形角)を計算する「時刻歴応答解析」を組み合わせた方法を標準の耐震診断といたします。

「時刻歴応答解析」で計算する層間変形角

1階床から2階床或いは2階床から屋根との間の水平変位量を層間変位と呼びます。また、この変位量を階の高さで割った値を層間変形角と呼んでいます。

表
イラスト

階高さ2.73mに対して
水平変位9.1cmの場合

91/2730 = 1/30

  • 1/30:構造体の「損傷」限界
  • 1/15:構造体の「安全」限界(倒壊の目安)
    [check]繰り返し起こる地震の揺れに対して、建物の変形角を1/30以下が補強の目標になります。

制震ダンパーを設置すると、具体的にどのくらい揺れが低減するのか?


それを確認するのが、設計方法の中でも最も精度の高い解析である「地震応答解析(時刻応答解析)」です。
設計法

「時刻歴応答解析」の事例


昭和52年築の「木造モルタルスレート葺き2階建て」の「一般耐震診断」の評点と「時刻歴応答解析」の結果です。

一般耐震診断 評点】
一般診断

【時刻歴応答解析 結果】
時刻歴応答解析

「一般耐震診断」」と「時刻歴応答解析」の関係

2階 1階
 X  Y  X  Y
耐震診断評点  0.90  1.07  0.48  0.73
層間変形角  1/97  1/30  1/7.6  1/8.6

1階X方向が耐震診断の評点0.48に対して層間変形角が1/7.6、Y方向が0.73に対して1/8.6と、共に「安全」限界(倒壊の目安)を超えた傾きになっており、耐震診断書の判定「倒壊する可能性が高い」の通り極めて危険と判断されました。
上記イラストの緑線が現況での変形角を表しており、1階が大きく傾き建物全体は〝く”の字に傾斜して柱脚のホゾ抜けにより倒壊する可能性があることを示している。

一般的な耐震補強


上記の結果より、一般的な構造用合板等にて上簿構造用評点が1・2階、X・Y方向とも1.0以上になるように設計。

一般耐震診断 評点】
評点1.0

【時刻歴応答解析 結果】
評点1.0

「一般耐震診断」」と「時刻歴応答解析」の関係

2階 1階
 X  Y  X  Y
耐震診断評点  1.11  1.07  1.06  1.06
層間変形角  1/9.8  1/27  1/9.5  1/30

1階は評点1.0以上でほぼ「安全」限界の1/30程度に傾きを抑えられるが、2階が1/15以上の傾きになり、建物全体が〝逆く”の字に傾斜して2階が大きく損傷する危険性が高いことを示している。

「耐震+制震」ハイブリット補強

上記の結果を踏まえて、壁補強の数量を増やし併せて制震ダンパーを設置して、層間変形角が1・2階とも1/30になるように設計。

一般耐震診断 評点】
変形角1/30

【時刻歴応答解析 結果】
変形角1/30

「一般耐震診断」」と「時刻歴応答解析」の関係

2階 1階
 X  Y  X  Y
耐震診断評点  1.59  1.72  1.17  1.25
層間変形角  1/30  1/32  1/30  1/32

建物全体を「安全」限界の1/30以下に押さえるためには、2階は1階より評点を大幅に上げる必要があるようだ。

関連リンク
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制震補強工事
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