耐震補強工事事例
面積40坪を超える広いお宅で、一日の大半を過ごすLDKも2部屋を
1部屋に改築した明るく広々としてくつろげる空間でした。
しかし耐震診断の結果は、比較的新しい築年数と形状(非狭小住宅、非不正形)からは想像していなかった
“0.24”という低い評点になりました。もちろん“0.7未満”「倒壊してしまう危険性が高い」という結果です。
T様とは「どの補強方法であれば生活上支障がないかを」何度も打ち合わせを行い、
色々な工法を取り入れて耐震性を向上させた事例です。
建物状況
- お客様 : 新座市/T様邸
- 建 築 : 平成3年
- 床面積 : 137.47㎡(一階:70.39㎡、二階:67.08㎡)
【診断結果】
- 壁強さ
Y方向は必要耐力を満たしているが、X方向は必要耐力のほぼ半分しかない。 - 壁配置バランス
南側に耐力壁が少ないため、偏心率が建築基準法の“30%未満”を越える“38%”と悪いため、項目評点も0.5と低い。 - 結論
Y方向は総合評点0.99と、ほぼ1.0「一応倒壊しない」であり大きな問題はない。
しかし、X方向は壁強さ(≒壁量)が少なくかつ壁配置バランスも悪いため、総合評点が0.24と、0.7未満「倒壊する可能性が高い」を大きく下回っている。
よって、T様邸は東西方向の地震動を受けた場合は、倒壊する可能性が高い危険な状態である。
【設計方針】
生活上の支障を最小限に抑える工法にて、X方向全体の壁強さ(≒壁量)を増やし、かつ南側をより重点的に補強し壁配置バランスを改善する。
【工事内容】
居間南面のテラスサッシを9尺→6.7尺(関西間)に変更し、外壁側を構造用合板+内壁を吉野石膏製グラスロックの2.3尺(筋交いは無効だが面材は有効)の耐力壁を新設。
ポイント:採光に影響を与えずに、耐力壁を新設。(キャビネットの奥行き寸法で収まる関西間のサッシを採用)
①補強前 ②柱を新規設置
③外壁:構造用合板 ④内壁:グラスロック
セフティ壁(9尺掃出し仕様)を用いて、車庫の入り口と中央部を垂れ壁補強。
ポイント:車の出し入れに影響を与えずに、開口部補強。
①補強前 ②セフティ金物を取付
③柱頭に10kN用金物取付
④柱脚に10kN用金物取付 ⑤壁を構造用合板で補強
⑥車庫前面(タイル仕上前)
出入りに使っていない玄関ホール~DKの扉を撤去し、両面をグラスロックで補強。
ポイント:間取り変更により使わなくなった扉を耐力壁として有効活用
①補強前(扉撤去) ②柱頭柱脚を補強
③壁下地 ④グラスロック
- 階段上り口の小窓面を、車庫側から木耐協推奨「まどつよし」を用いて補強。
ポイント:採光を確保したままで、開口部補強。 - 既存壁3箇所を、構造用合板(階段の外壁)、NEWかべつよし(洗面所の内壁)、グラスロック(DKの内壁)を用いて補強。
工事金額
工事名 | 補強材 | 部位 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2.3尺の耐力壁新設 | 外:構造用合板、内:グラスロック | 居間 | 1面 | ¥517,000 |
耐力腰壁新設 | セフティ工法 | 車庫 | 2面 | ¥561,000 |
扉を耐力壁補強 | グラスロック | 台所 | 1面 | ¥187,000 |
開口+既存壁補強 | 開口:まどつよし、壁:構造用合板 | 車庫 | 2面 | ¥124,000 |
既存壁補強 | グラスロック | LDK | 2面 | ¥356,000 |
既存壁補強 | かべつよし | 洗面所 | 1面 | ¥157,000 |
柱脚接合部補強 | 外付ホールダウン金物 | 浴室、台所 | 2式 | ¥182,000 |
現場監理費 | 18日 | ¥360,000 | ||
諸経費 | 工事費の12.5% | 1式 | ¥271,000 | |
消費税 | 5% | 1式 | ¥135,000 | |
合計 | ¥2,850,000 |
関連リンク
耐震補強の考え方
壁補強
接合部補強
基礎補強
その他補強
下屋補強
診断から工事までの流れ
耐震補強工事一覧へ戻る